個人的リコリス・リコイル感想戦
アニメというのは、非日常を美しくしなやかに描いてきた媒体として最大の功績を残してきた。一方、本作は徹底して煮え切らない非日常を描いてきた。銃を携帯する年頃の女子、秘密裏に平和を支える組織DA、弾丸を避ける少女、バランスを保とうとする正義家、アラン機関、謎多きハッカー。これらすべて異世界的要素なのだが、なぜそれが成立してしまうのか疑問だらけ。
さらに本作では、勢力を描くということを徹底して回避してきた。アランって結局何だったの?テロリストはなんでリコリスを襲うの?大衆はどうして何も知らないのか。
途中から、喫茶メンバー以外浮きっぱなし(特に真島と吉松だけど)。意図的にやってるのかどうかさえわからんので、アニメをもっと観るべきなんかね。
一応、全員の思惑は外れるか正当化されたかしたので、終わったことに対しては何も言うことはあるまい。
しかし、煮え切らないなあという思いもある。消化不良というより満腹にはならないと言ったほうが正しいか。美味しそうに見えたんで食ったはいいが、いやまだ食えるけどもうないのかって感じ。
北野映画おすすめ3選
本日は現代日本映画の巨匠、北野武監督の作品の中から、おすすめを3つ紹介しようと思う。
正直、全部おすすめできるのだが。
あえて3つに絞ってみる。
①アウトレイジ(2010年)
北野武映画の中で、最もポップ感のある暴力が展開されているのではないか、という映画。
ストレスの溜めと解放がこの上なくたまらない。
つくづく、暴力の取り扱いがウマイ監督なのだと思い知らされる。
しかもやけに耳に残るあのビート音。エンディング後の爽快感がハンパない。
②あの夏、いちばん静かな海(1991年)
ヤクザなし、バイオレンスなし、バカヤローも1シーンのみという、北野映画にしては珍しい映画。
毎年味わう、夏の虚無的な清涼感が大好きなのだが、この映画はそれを遺憾無く演出する。
重要なのは、やっぱり音だということです。そして、青色であることもね。
視聴者全員がその理由を知ることになります。
③その男、凶暴につき(1989)
北野武初監督作品。
とにかくヘンな感じのする映画。
その正体はやはり、暴力の取り扱い方にあると私は思っている。
HANA-BIあたりまで、この感じは続くことになるのだが、この映画はその最初期の試みを観ることのできる貴重な映画にも思える。
私自身、レザボア・ドッグスを先にみてしまったので、ちょっとしたネタバレを既に食らっていたわけなのだが、それでも楽しめた。
いかがだっただろう。
北野通から、「ソナチネやHANA-BIを入れないとはどういう了見なんだコノヤロー」という怒声が聞こえてきそうなので、早急に筆をおくことにする。